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  オキナワチドリの育て方 (2)  


 潅水:

 オキナワチドリは水分を好むランなので、あまり乾燥させないほうがよく育ちます。しかし古い水が鉢内に
停滞していることは嫌います。用土がいつもじめじめしていると、用土に接している部分から腐ってきます。

 野生ラン栽培では、過湿のために根元が腐ってくる失敗はよくあることで、引っ張るとスポンと抜けてくる
様子から、通称「スッポ抜け」と呼ばれます。オキナワチドリも過湿にするとスッポ抜けが発生します。
 オキナワチドリの場合、他のランと違って葉が地面に張り付くように育つため、表面に突き出ている用土粒
に葉裏が触れ、葉の中央から腐りはじめることもあります。上から見て元気と思い油断していると、葉の下
はカビとあやしい虫がいっぱいという事も・・。時々葉裏をチェックすることをお忘れなく。

 雨に当たったり、潅水時に水がかかった時も、葉の上の水滴をそのまま放置しておくとその部分から腐っ
てくることがあります。特に葉の付け根の部分の水滴はスッポ抜けなどの致命傷になりますので、ティッシ
ュペーパーなどで吸い取っておくか、鉢数が多い場合は写真機の手入れに使うブロアーで空気を吹きつけ
て水滴をふきとばしておきます。頭から水をかけてしまうとあとが面倒なので、葉のホコリを洗うなどの目的
がない時には水さしを使い、植物に水をかけないように潅水したほうが良いでしょう。
(注:これは過湿を嫌う野生ランの場合です。他の植物の管理ではこの限りではありません。)

 頭から水をかけることを避けるためには「腰水にする」(鉢受け皿に水を入れて鉢底穴から水を吸わせる)
方法もあります。この場合、常時鉢底を水に浸けていると過湿になりすぎてスッポ抜けが多発します。底面
吸水の場合、用土表面が乾いていても鉢内は多湿になっていて、根が腐ってくる場合があります。水をひ
かえて乾かす日、用土表面から潅水する日など、底面吸水と組み合わせて管理しないと適切な水分状態
は保ちにくいようです。
 

 
 鉢の選び方: 
 
 オキナワチドリの栽培には、着生ラン用の素焼き鉢などの乾きやすい鉢は適しません。一般には施釉鉢
(せゆうばち=塗り鉢。うわぐすりをかけて焼いた、吸水性のない材質の鉢)が使用されますが、筆者は前
述のように底面からも吸水させる場合があるので、底面に足が付いている高級鉢は使いづらいです。
 観賞価値を考えなければ、高さのわりに口径が大きめで、底に多数の排水孔のあるプラスチック鉢は案
外、栽培成績が良いようです。
 
 筆者の栽培場で2・5号のプラスチック鉢、3号の駄温鉢と4号プラスチック鉢で比較栽培してみた結果で
は、2・5号プラ<3号駄温<4号プラの順に生育が安定しています。4号以上の鉢を使ったことがないので
適正サイズは把握していませんが、ある程度大きい鉢のほうが作りやすいように思います。
 
 ですが知人から「殖えてきたので大鉢植えにしたら、水加減が狂ったためかいきなり全滅した」という笑え
ない話も聞いています。殖えてきたら全部まとめて植えずに、いろいろな鉢に分散して栽培成績を比較する
ことをおすすめします。

(参考>植木鉢の一例)

 湿度と通風:

 沖縄は冬になると曇天が続き、まとまった雨は少ないものの毎日のように小雨が降ります。
そのため冬でも湿度が非常に高く、換気の悪い部屋にパソコンを使わずに置いておくと回路にカビが生えて
使用不能になってしまうほどです。(<本当)
 そのため、沖縄での栽培では通風がきわめて重要で、扇風機を回して空気を送っておくなどの工夫をしな
いと腐敗が多発します。

 本土でも、ラン用の温室内などの湿度の高い栽培場では、沖縄と同じように扇風機を使用したほうが栽培
成績が良いと聞いています。乾いた風を当てて湿度を下げると、葉が先端から枯れてくるようですが、一般
の観葉植物と同程度の湿度で管理すれば大きな問題はないようです。


 休眠中の管理:

 花が咲いたあと、晩春に葉が黄色くなりはじめ、地下の球根だけを残して地上部は枯れてしまいます。
チューリップやスイセンのような一般球根類ではこの時点で掘り出して球根だけを網袋などに入れて保存し
ますが、オキナワチドリのような小球根でこれを真似すると、夏のうちにひからびて駄目になってしまいま
す。夏の間の保管方法としては、

  1:そのまま秋まで鉢ごと保管。
    雨の当たらない日陰に移動して、時々軽〜く水を与え、完全に乾燥させないようにして晩夏に
    植え替える。

  2:球根を鉢から取り出して、かすかに湿気のあるミズゴケやパーライトなどと一緒にビニール袋に入れ
    て保管する。

 1は手間はかかりませんが、慣れないうちは鉢の内部の水分状態がわかりにくく、過湿にして球根を腐ら
せたり、水をやり忘れて完全にひからびさせてしまったりする心配があります。
 2は球根の具合をチェックできますが、ビニール袋の内側についた水滴が球根に触れて腐ってきたり、通
気が悪いためカビや細菌が繁殖する危険があります。

一長一短があるので、栽培地の夏の気温なども考慮して管理方法を工夫します。

.( >> その3に続く )






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