野生株の採集 

野生オキナワチドリの採集についての私見を書いておく。

オキナワチドリの野生株を掘る者は
 
馬鹿
 
である。

 オキナワチドリは細く折れやすい地下茎の先に新球根ができる。
生長期に掘って、地下茎を傷つけてしまうと、新球根が形成されることなく死に至る。
特に開花期は採集時期として最悪である。

 傷つけずに掘りあげることに成功しても、それを自宅に持ち帰って環境に慣らすのは容易ではない。
自生地と気温や日照が異なるために、新球根が成熟する前に枯れてしまうこともある。
新球根ができても小さく、それをきちんと管理して鑑賞価値のある状態にするには何年もかかる。
栽培経験に乏しいと、回復させることができずにそのまま駄目にしてしまう。

 いや、俺はオキナワチドリの栽培に慣れているから、というベテランもいるだろう。
そういう方にはこういうツッコミが入る。

「植物を、土地所有者の許可なく採取すると
法的に窃盗ですよ」
(注:黙認されていますが、山菜やキノコも法的には盗品です)

「国民の財産である希少野生植物を私物化するなんて
あなたは下劣ですね」

自然保護を、小学生でも常識として語るご時世である。
野山の物は誰のものでもない、見つけたもの勝ち、と人前で言ったら、かなりイタい人である。

 野生植物の鉢植えをホームページに載せれば、いつ何時、自然保護活動家から批判メールが来てもおかしくない。
そういうトラブルに巻き込まれるのが嫌な方は、自分の育てている野生植物を他人に見せてはいけない。
公共の展示会に採集品とわかるものを出品したら、会場の管理人に抗議が行く。
翌年から出入り禁止にされても文句は言えない。

へー、そうなんですか、知らなかった、という呑気な方はこちらのサイトの記事も読んでおくと良い。
 討論:「園芸と自然のおつきあいはどうあるべきか?」
 園芸ニュースレター「園芸植物と山採りについて」

「園芸植物だって元をたどれば野生植物、野生植物を育てるのは園芸化の第一歩だ」
そういう反論はよく聞かれる。だが、そういう反論をすれば、こう言われる。

「お前自身のやってることは、野生植物の園芸化に
何か役立ってるのか?」
 
何も結果を出していない者が、園芸化うんぬんを語っても説得力はゼロ。
「自然界から収奪し、娯楽のために殺していく外道の園芸」「犯罪の上に築かれた、恥知らずの趣味」と言われても
反論はできない。
まして、山から掘ってきたものを、まともに育てられる腕のない人達に配って消滅させるなどは問題外。
ただの快楽殺蘭鬼である。

たかが趣味に、そんな大袈裟な事を言わなくても・・と思うのは自由だが、あなたの評価を決めるのは他人である。
山野草に興味のない一般大衆から見れば、
山野草愛好家とは、山野草を盗んでいく心ない人
なのだ。

 自分が上手に育てられたとしても、あの世まで持っていけるわけではない。
自分に何かあった時に、所有株を消滅させずに後世に伝えていけるのか?
それができなければ、何十年育てられてもダメダメである。私物化して消滅させた犯罪者である。

野生植物が園芸趣味の対象になった時、どういう結果をまねくか。
あなたは知っているだろうか。
今は園芸植物となったウチョウランの、忌まわしき過去の歴史を。

あえて言う。

気安く触るな。









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